No Diary

【ゲーム】Outer Wilds

解説

2019年発売のアクションアドベンチャーゲーム。開発はMobius Digital。宇宙の終焉直前22分間をループすることになったあるエイリアン宇宙飛行士のお話。

注意・このページは本作の軽度~中程度のネタバレを含みます。

お知らせ:『Nomaiのメモ』は移転しました(2020年9月19日)

(公開:2020年8月15日/最終更新:2020年9月19日 Nomaiのメモ移転)

目次

ゲームの紹介とクリア後感想

「とにかく凄い」という評判だけを信じてどういうゲームなのかほぼ一切知らないまま(※公式の紹介はおろかPVも見てない)Steamのサマーセールで購入し、そのままクリアしました。皆さんもどういうゲームなのか一切調べずにプレイすることを強くオススメします。以上

…とだけ書いて終わらせたくなるくらいにはネタバレが致命的なゲームです。とはいえこの紹介で「じゃあプレイしてみようかな」と思う人も少数派だろうのでもう少し説明すると、本作の主人公はいわゆるエイリアン的宇宙人の新人宇宙飛行士。今まさに人生初の宇宙探検へ出かけるところだったのに運悪くその日は宇宙最後の日だった。老朽化した太陽が超新星爆発を起こし、何もかもみんな吹っ飛んでしまう。しかしなんの因果か、何らかの理由によって主人公は太陽が爆発する22分前、宇宙に旅立つ直前まで戻ってきてしまう。何もかも元通り、残っているのは死ぬ前の記憶だけ。しかしそこからまた22分経つとまた宇宙は崩壊する。なんでこうなるの?どうすりゃいいの??

…みたいな感じのゲームです。つまりループもの+死にゲー。22分間の制限時間および何をやっても最後は宇宙ごと吹っ飛ぶという仕様の性質上、アイテムを集めたりとか(そもそもアイテム欄の概念がない)レベルを上げたりとか(レベルの概念もない)ではなく、それまで集めた知識と経験だけを頼りに様々な謎に迫っていくのがゲームの流れになります。これがネタバレを見てはいけない最大の理由ですが、つまり情報を集める過程、そしてそれらがプレイヤーの頭の中で繋がったり繋がらなかったりするその瞬間が本作の醍醐味なので、そのへんを知ってからプレイしてしまうとせっかくの楽しみが全部ただの作業になってしまう可能性が非常に高い。当サイトで過去にプレイ日記を書いた『ワンダと巨像』なんかもそうですが、「見つけること」「考えること」「試行錯誤すること」が一番のご馳走と言えるタイプの作品ゆえ出来ればプレイに詰まっても攻略さえ極力見ないほうがいい。不用意に中途半端な情報を仕入れてからプレイすると最初のひと口目だけが美味しかった大食いチャレンジみたいになる。警告はしたぞ

なお本作はハードSF、宇宙、量子力学とか考察が好きな方にはかなりオススメ出来ますが、宇宙や深海に本能的恐怖を感じる方、3D酔いが激しい方、会話テキストはバンバン読み飛ばすタイプの方にはかなりオススメできません。そういう要素があります。無重力下をグルグルするとか。そこだけは気をつけてね。

では以下感想になります。致命的ネタバレは控えましたが未プレイの方は読まないように

クリア後感想を読む(クリックorタップで開く)

いちばん大切なことは目に見えない(量子的にゆらいでいるから)

  • すごい体験だった…(エンディングを見終えて開口一番)。とにかくあの状況であの光景を見た途端懐かしさや諸々の感情でこみ上げてくるものがあった。おれは映画の『2001年宇宙の旅』(人類の月到達後に発見されたモノリスから木星に向けて発信された謎の「信号」を追っていく話である)が好きで特にあの一連のラストシーンが大好きなのだがそういう感動があった…(性質はちょいと違うが)(ちなみに後で調べたが『2001年~』は製作者インタビューでも発想元のひとつとして言及されていた。『アポロ13』も)。探検ものの結末としては満点級の満足度だった(※個人の感想です)。とんでもないところに来てしまった、見てしまった、そういう感覚をダイレクトに味わえたラストであった。
  • なんていうか「ゲームでしか出来ない表現」みたいなのに弱いんですよ。上記の『ワンダと巨像』もそうだが『Portal』とか『Undertale』とか自分で体験することに意義があるようなやつ。本作も間違いなくそれです。シナリオだけでメチャクチャ泣かせてくるような作風とかじゃないのに心に残るって地味にすごいぞ。
  • プレイ中に気づいたのは誘導の上手さというか、「何をやっても22分で死ぬならせっかくだから色々やってみよう」と思わせるゲームデザインのヤバさ。こんなところに落ちたらたぶん絶対死ぬけど残り1分くらいだろうから飛び込んでみようと思ったらなんか発見した、みたいなことが何度かあった他のゲームだったら絶対やらないような自殺行為同然の行動を自発的にやって後からそれが無意識への誘導だったと気づいてアーッってなるやつ。こわい
  • それにしてもNomaiの末路、あまりにも切なすぎる。最初は謎に包まれていた彼らの足跡を追っていくうち、中盤以降は何度かこみ上げてくるものがあった(二度目)。なにしろ純粋すぎる。あんなことを成し遂げようとしてしまうほどに(冷静に考えなくてもヤベー連中すぎる)。あれだけまっすぐな探究心、好奇心、冒険心に加え原始的生命体への配慮すら持ち得たハイレベル知的種族がよりによってあのようなことに…おお…(顔を覆う)。それだけにあの場所であの姿を見た瞬間リアルでちょっと声が出た(そして目から鼻水が出た)。個人的には彼女(?)が本作の最推しキャラである。もっとお話ししたかった…。
  • とにかくNomaiたちの末路を知ってしまうとそのへんに転がっている(としか思っていなかったはずの)Nomaiの白骨死体を見るだけでウウッってなるようになった。あとあの場所で遺体の状態が見るたび変化するのも…。おのれ量子力学!!
  • ラストの演出のひとつでNomaiの骨が徐々に積み重なってアレになるのも、彼らがあれほどの文明を築き上げ『眼』を目指すに至るまで文字通り数多くの犠牲の積み重ねがあったのだろうとか色々と想像してしまってこみ上げてくるものがありますね(三度目)。その上で宇宙にひとり残された彼女の仮面を主人公が「見つける」流れ、あまりにもエモい。ウウッ(泣き崩れる)。
  • ところで量子力学の取り入れ方、まあSFだしゲーム的にランダム要素としてこういう表現になったのねと甘く見てたら最後にあんな収束の仕方させてくると思わないじゃん…。「宇宙より古い信号」の正体あまりにもロマンがありすぎる。本作のシナリオライターは間違いなくロマンチスト。おれのロマンチスト指標で10点中9点は固い(Gabbroのマネ)。ちょっと話はずれますが「(地球人以外の)宇宙人は実在すると思うか?」という定番の疑問がありますが、「実在するかはともかく、人類が存在すること自体が他の宇宙人が存在する可能性の証明である」みたいな考え方ありますよね(「宇宙は一巡した」でも可)。最後のアレはそういうものだと解釈した。主人公が最後にあれ「見た(観測した)」からあれが出来たのだ。たぶん。○年後なのにマシュマロが出てくるのもひょっとしたらそういうことかもしれないし…受け継がれる文化…ミーミー…ぼくの名前はエンポリオです…(感極まっていろいろ混ざった)。ところで最後のあれ、マシュマロだと思いこんでるけど実は焼きモチだったらどうしよう(どうしようもない)。
  • (冗談はともかく)未知を追い求めた者たちが消え、あらゆる謎を残したまますべてが失われるはずだった宇宙の運命を、他ならぬ探求者たちが「新たな未知」の創造へ収束させた結末、ロマンの塊である

それはさておきアンコウは滅ぼされるべきである

  • と、ここまでは高評価部分の感想ですがマイナスポイントも実は結構あった(※個人の感想です)。まずアンコウ、次にアンコウ、最後にアンコウと言っていいくらいアンコウアンコウ(ゲシュタルト崩壊を誘発する表現)。ハラハラ要素が悪いわけではないが本作のように攻略順が自由なゲームで「分かりやすい障害」をクライマックスにもってくるとそこだけ急に作為的なものを強く感じてしまってもったいないなあとおもいました(早口)最後のジョーク(?)を見るに制作側も意識はしているようだが…。BGMが変化するのはヒント演出の役割もあるから良いんだけども。
  • ゲームの性質上仕方ないが、まったく同じ場所に繰り返し通ったり、1度しかタイミングが訪れないもののために何度も待ち続けたりとかも人によっては飽きor挫折ポイントかもしれぬ(急いでるのに容赦なく壊れる探査艇)(操作に慣れても忘れた頃に壊れる探査艇)(爆発する反応炉)(ほんのちょっとの段差を歩いて超えられない主人公)(ブラックホールに落ち、ブラックホールに落ちブラックホールに落ちる(焚き火での時間スキップやショートカットに気付くかで多少このへんの印象は変わりそうだが)メタい考察をするとラストのあの流れであれだけの待機時間があるのはチャレンジ的なプレイを想定した結果だろうと予想は出来るのだが(ループなしで一発クリアとかね、発射コードが要るからね)。
  • あとこれは運の問題かもしれないが何度かバグに遭遇した(※クリアしたのはv1.0.7だが途中でバージョンアップがあったので発生した時期は詳しくは覚えていない)。アンコウに食われたあとアンコウの光が死んだあとの記憶送信画面に残り続けるバグ(同じ日に2度やって2度発生して笑うしかなかった)や『燃え盛る双子星』での階段すり抜けバグ(地形はすり抜けませんでした、階段だけ)はともかく一部の航行記録が現地のどこに行っても更新されないのには参った(これだけ未解決。一度ゲームがクラッシュしたことがあったんですけどそのときセーブデータ壊れたのか?)(なおバグではないかもしれんが航行記録の記述に脱字が何箇所かあったのも多少気になった。脳内補完できる程度だが)。あと足が遅くなるバグは演出かと思ってしばらく放置したが何もなかった(深読みの弊害)。いずれのバグもゲーム中断してタイトル画面に戻ってからプレイ再開したタイミングで発生したっぽいので、プレイ中になんかヘンだなと思ったら一度ゲームを完全に終了してから再開したほうがよい。
  • (バグの件を除けば)つまりは「宇宙探検もの」としてのリアルさと醍醐味をとことん追求した結果、探検の厳しさ(決死あるいは長期の調査が無為に終わったり)をも再現してしまったということなので、これらの不満は最終的に「納得はできるがツラいもんはツラい」という感想に落ち着く。実際、ゲームデザインに悪い意味での「ゲーム的な都合」を感じることがほとんどなかったのは驚かされる。例えば「降り立った惑星を歩き回っていると人工物があって、辿っていくと遺跡にたどり着く」という本作の攻略で基本の流れも「Nomaiたちも(主人公と同じように)宇宙からやってきて、その経路で避難していたから」という設定的に自然な理由付けとゲーム的な誘導がセットで実現しているのだ。『量子試練の塔』内部でジェットパックがほとんど役に立たないのも謎解きパズル的な事情だけじゃなくて大きい惑星は(基本的に)重力も大きいからだとかね。いやーよく出来てるわ……結局褒めてるなこれ(設定といえば、航行記録がループ後も残ってるのもちゃんと理由があるんですよ! 詳しくは博物館で聞け)。

超新星爆発で焼いたマシュマロが食べたかった

  • ここからは細かいお気に入りポイント。何度も事故死していると気付くが前ループの死因でループ再開時の主人公の挙動、特に呼吸の仕方が地味に変わってて芸が細かい。時間切れ死の場合は「ふぁ~、よく寝た」くらいのテンション、痛い目に遭って死んだ場合は悪夢から覚めたような「…ハッ!」とか。特に溺死や酸素不足からの窒息死の後は「…ブハァーーーーーッ…」と、かなり苦しそうに目覚めるので申し訳なくなる。高いところから落ちたりしたときのショック演出で4つの目がチカチカするのも芸コマ。
  • あと圧死したときの効果音、生々しすぎない?? 申し訳ないの通り越して変な笑いが出たわ…
  • 復活時といえば「…ハッ!」の時に何度かまばたきをするんだけど、そのときに例の月が視界にあるとちゃんとまばたき後に消えるのも芸コマである。そして伏線でありヒントである。もちろん起きたとき常に見上げているあのあれが毎回ちょっとずつ違う動きをしているのも伏線である
  • これは上記の「どうせ死ぬと思って通常ありえん行動に出る」と同系統のネタですが、小見出しに書いたとおり超新星爆発の熱でマシュマロが焼けます。なんとなく思いついてやってみたら出来てしまって大笑いした。そして火を吹き消す間もなく宇宙とおれは死んだ。それから何度かチャレンジしましたがどうしても火を消す以降の動作が間に合わない(なにをチャレンジしているのか)(操作が間に合わないんじゃなくて周囲が高温すぎて息を吹きかけた程度では火などもはや消えないから説)
  • ついでに完全に与太話だが例の種があんなことになった真相を知ったとき『星の王子さま』のバオバブを即連想しました。よりによってイバラってのがまた…(原語だとBrambleであってRoseじゃないんだけどね)。
  • エンディングの最後のやつ、たぶん何をしたかでやや分岐があると思うんですけど偵察機くん生きとったんかワレ!!
  • というかですね、最終盤まで行くと感覚麻痺しちゃいますけど探査艇といい偵察機といいHearthian製の機械、木製パーツ多すぎない??最大22分程度とはいえよく最後まで持ちこたえたな!? それ以前にあれでよく大気圏を…えーと、木のあたたかみは宇宙の厳しさにも耐えるのだ。わかったか。Nomaiの遺跡や各種装置もよく持ちこたえたな…超絶科学力…
  • もっと色々書きたいことはあるがひとまず以上。

…と、ここまでが致命的ネタバレをギリギリ避けた感想ですが、クリア済み(※正規エンディング以外も含めて)でもうちょっと踏み込んだ感想が読みたいという方はOuter Wilds - 22分の記録で色々書いているので興味があれば是非どうぞ。

ところで全然関係ないんですが、今年のSteamサマーセールでは本作と『ダークソウル3』を買ったんですが、偶然にもどっちも死にゲーかつ太陽(火)が消えて世界が終わる寸前ゲーかつ主人公が焚き火(篝火)のそばで復活するゲーでしたね。意外な共通点。