解説
雑談考察の14ページ目。2022年6月以降分。
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(公開:2020年8月18日)
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目次
20220604/ 20220611/ 20220618/ 20220625/ 20220709/ 20220717/ 20220725/
20220604●
- 量子の月の「もや」についてまだモヤモヤと考えている。というのも、量子の月の『月が周回している天体の様子を反射する』特徴を成立させているのはあの「もや」である可能性があるからです。もし「もや」が無かったら、月は今でも『宇宙の眼』地表と同様の黒い岩の塊のままだったかもしれないし。量子の月が『眼』から分離した当時(※おそらく隕石の衝突かなんかが原因で)(『眼』自身が何らかの理由で切り離したとかだったら怖い)にもこの「もや」があったかどうかは不明だが、仮に無かったとしても『眼』上空にある雲の層から引っ張ってくることは可能なはずなので、そのあたりはあまり考えなくてもいいかもしれない。外側からの観察を遮断しながらも内側は霧で視界不良にならない程度の絶妙な「もや」、実際謎だらけである。
- 量子の月の中に放り込んだ偵察機は回収ボタンを押せば当たり前のようにランチャー側に戻ってくるが、このとき何がどうなってそういう処理になってるのか考えるとちょっと面白い。回収プロセスが具体的にどんな流れなのかは不明だが、偵察機側に小型ホワイトホールを生成するには「ホワイトホールを出せ」と命令を送る必要があるはず。しかしプレイヤーが月の外にいるときは、偵察機は意識的観察者による観察をされていない=どこにいるのかが確定していない状態とも解釈できる。そういう相手とどうやって通信しているのか? と少し疑問になるわけです。現実で言うところの『シュレーディンガーの猫』の例え話に近い気がするが、本作の設定では更に意識的観察者がどうのこうのという要素が加わるので余計にわけがわかりません。偵察機回収のためだけにワープコア使ってるなんて凄いなと思っていたが、実は通信的にも非常に高度なことをやっていた可能性が出てきた。そんな高機能な偵察機が今ならなんと無料!! 急にどうした。
- 量子の月の外から月の内部を偵察機のカメラで撮影したとき、ノイズしか写らないとはいえ『ノイズの写真』は送られてくる=通信が出来ないわけではないことも同様の謎である。中身の状態が分からないのに通信が返ってくるというのは、量子力学ジョークで言うところの『シュレディンガーの猫が箱の中でニャーと鳴いた』のと同じようなものではないのか? 何言ってんだ?
- カメラの謎をもうひとつ。先進的ワープコアに偵察機を送り込むほうの時空構造破壊エンドでは、偵察機を回収しようとしても
『ターゲットが多すぎます』
とメッセージが出て回収不可能なのにカメラ機能だけは一応使えるのも地味に謎である。使えるのは偵察機を増やしたあとのループでプレイヤーが発射したほうの偵察機のカメラ(ややこしい)で、カメラの使用レンズを切り替えたり向きを変えたりの操作も出来る。操作に関してはそれぞれの偵察機が同時に動いたとしても問題はないが、撮影した写真の受信についてはデータが二重に送られてくることにならないのか? なんかエラーになったりしないのか? よくわかりません。仕様です。
- ↓ここからDLCの話題↓
- ゲーム『OneShot』の開発者・NightMarginさんが、『Outer Wilds』リリース3周年記念に超かわいいショートアニメを公開。あまりにもカワイイ。4月に本編をクリアされた後もファンアートをいくつも投稿されていて必見ですわよ。かわいいぞ。
- 地底湖のはずれに小さい土星風惑星がある件。おそらく独房の窓から見えるアレを表示するためのもの(※ゲームの仕様的な意味で)ということらしいが、これを無理矢理シナリオに絡めるなら、この場所からであれば独房内の囚人さんに対して何らかのコミュニケーションを取ることが出来るのではないかと気が付いた。出来たから何がなんなんだというのは不明。
- 独房の中から土星風天体が見えるようになっているのはともかく、それを見るための専用部屋があって望遠鏡まで用意されているのは若干意味深ではある。望遠鏡部屋と居住スペースの2部屋作るにしても、模擬現実内の封印はデジタル的なものなのだから横に続く部屋でも良かったはず。そうなるとクライマックスの演出的に弱いとかそういうのは置いておいて。
- あの望遠鏡は囚人さんの最後のビジョンにも登場するので、きっと囚人さんにとって大事な私物だったのだろう…というのはなんとなく想像がつくが、星明かりの入り(江)にある焼けた建物(ファイル名からすると囚人さんの家だった可能性が高い)にも望遠鏡が残されているのでこれも少し謎である。デジタルの世界だから複製自体は容易なはずだがコピーならコピーでなぜコピーしたのかが謎です。
- 模擬現実内の望遠鏡がどういう感じで動作するのかも実は謎じゃないですか。使っているシーンが1度もないからです(現実の望遠鏡の使用シーンだって一回しか出てこないが)。天体観測をしたところでプログラム的に再現された夜空を見ることしか出来ないし、ましてや新発見とかは絶対に無いのだ(それこそ『宇宙の眼』の信号を発見したときのような)。あの望遠鏡は何のためにあるの? と考え始めると色々悩むわけです。
- DLCで追加された模擬現実エンディングで主人公の元の人生が
「うろ覚えの夢(half-remembered dream)」
になっていったという表現と、囚人さんが保管庫のスライドリールの内容を完璧に覚えていることの矛盾についてもずっと考えている。あの一連のスライドリールは保管庫と構造物を沈めたあとに作られたものなので、投獄済みの囚人さんが内容を知っていること自体が結構な謎である(※DLCプレイ日記最後の怪文書参照)。実はあの望遠鏡でスライドリールの隠されたアーカイブにアクセス出来たりしたならまだ分からんでもないがそのような証拠は一切ない。 - ところで、囚人さんの独房が地底湖の更に地下(の地下)に作られたのは、囚人さんの『宇宙の眼』に対する思いを否定し戒める感情が込められているようでもある。もし囚人さんの願いが『眼』に行くことであったとするなら、住人たちは罰としてその逆をしてやったわけですね。空(宇宙)を目指す者を地中の奥深くに閉じ込めるという。
- 前回書いた「子供の住人がいなかったのは模擬現実完成までの間に成長したからなのでは」説のちょっと続き。いくつかのスライドリールに登場するおじいちゃん住人(おばあちゃんかも)の変化が作中の時間経過の説明に使えるのではと思いついた。御老人が故郷のスライドを見て泣くシーンの前では杖を使いながらも自力で歩行していたのが、その後の遺物使用実験の場面では若い住人に付き添われながら歩いていた(そして転んだ)。これが老いによる衰えの表現であるなら、やはり信号遮断~模擬現実完成まではそれなりの時間が経っていたと解釈できなくもない。猛烈な心労によって老いが急激に進行した可能性も無くはないが。おじいちゃん…。
- そして、死亡したあとのおじいちゃんがミイラ化しているような描写もまた時間経過を表す証拠になる。地球人類がミイラ化するには乾燥工程だけで数ヶ月はかかるそうです(※地球時間で)。ゲームでの時間単位が分からないのであまり参考にならんが。もしかしたら『流れ者』種族の遺体はものすごく乾燥しやすいのかもしれないし(これは不謹慎ジョーク)。
- そもそもおじいちゃんの遺体はなぜミイラ化したのか? 水分豊富な『流れ者』の環境では遺体が自然にミイラになる確率は低い気がする。もし意図的にミイラ化させたとしてその理由は何なのか? 模擬現実の仕様(肉体が死んでも意識が残る=残った肉体には特に役割は無い)を考えると死亡ログイン後の肉体は埋葬するなどしても問題ないと思うが、そうしなかったのはなぜか?
- これは完全に想像ですが、死亡した人物の肉体をなるべく生前に近い形で保存することで、あくまでもその人物は生きたまま夢を見ているのだという体裁を整えるためにやったのではなかろうか。住人たちが模擬現実を作ったのは自分たちの滅びを受け入れたくなかったからであって、現実の肉体(遺体)を葬る行為はその目的と矛盾する。火室にいるミイラたちが白骨ではなくミイラになっているのも同様の理由であろう。室内をいい感じの湿度・温度その他に調整して、手作業での管理なしでもミイラになるようにしたのではないか。前述の模擬現実エンド時の主人公の遺体もいい感じのミイラになっているかもしれない。なんかこう魚の干物みたいなイメージが拭えないが。
- ところで死亡ログインの手段として焼死を選択した場合、主人公の遺体から火室の床などに火が燃え移って何らかの問題を引き起こしてしまうのでは? と心配になったが、よく考えたらあの青い火は建物には燃え移らない場合もあると作中で説明されているのでひょっとしたら上手い具合に主人公の体だけ燃えてそのまま鎮火する可能性もあるなと納得した。いやあ、まさかあのスライドリールの描写が伏線だったとはね。絶対違うわ。
20220611●
- Annapurna Interactive Showcase、今年は7月28日に発表。日本時間だと7月29日の午前5時(たぶん)。『Outer Wilds』も一応トレーラー映像に登場(※映像自体はDLCのPVからの流用)。去年と違って今回はMobius Digital側からの事前匂わせも何もないので何かしらの新発表があるのか無いのか一切不明だが備えよう。
- Mobius Digital公式Twitterアカウントによる量子の月のネタツイ(※後に削除)。なにしてんですか。
- Hearthian村で村人たちと話したり、村の風景を眺めたりしているときに、ふと「ああ、これがもうすぐ全部無くなるんだな」と思い出して涙腺がブワッとなることが今でもたまにあります。疲れてるんだと思います。
- NASAが5種類の「ブラックホール壁紙」を公開 | sorae 宇宙へのポータルサイト/シミュレーション等の画像を壁紙として公開。こんなものを当たり前のように利用していたNomai、やはりヤバイ。
- 今回の雑談はDLCの話題がメインです。続きはDLCのメニューかショートカットからどうぞ。
- ↓ここからDLCの話題↓
- Escallの『船』以外のNomai船が信号を受信しなかった理由について、行方不明になったEscallたちを探すのに気を取られて誰も信号に気付かなかった…という可能性に思い至ったが、行方不明者の捜索中に(何らかの連絡・手がかりが届くかもしれない)受信機の類を放置するなんてあり得るかなァ。と思ったのでこの案はナシで…。
- 『流れ者』のボードゲームをTabletop Simulatorに移植した方がいた(The Inhabitant's Game)。熱意がすごいわ。ゲームファイル名から分かるコマの名前や開発者の方がDiscordで公表した情報(AntlerのコマはEyeのコマを閉じ込めるのが目的・EyeのコマがAntlerのコマを見ると盤から取り除ける)を参考にして遊び方を考えたそうです。熱意がすごいわ。
- 前回に続いて望遠鏡の謎についてもう少し。模擬現実はともかく、現実の『流れ者』内に望遠鏡が1台も無い(無いはず)(望遠鏡の数え方って「台」でいいの?)のは結構気になる。住人たちにとってはある意味すべての元凶でもあるので例のスキャン事件後に壊され捨てられた可能性はあるかもしれないが、『眼』の神殿と違って破壊の痕跡がまったく残っていないから想像しかできない。川に捨てられたのかもと思って近辺を探したけど何も見つからなかった。母星に置いてきたってことは無いだろうし。
- 物語的な解釈だと、あの望遠鏡は新発見や探究心・冒険心の象徴と見ることもできるので、囚人さんにまつわる場所にしか残っていないのはなんとなく理解はできる。物語的解釈以外の理由が分からんというだけで。
- 模擬現実の遺物なしモードは簡易版の3Dモデルが用意されているものとそうでないものがある。例えば星明かりの入り(江)の燃えた家に落ちている『眼』のシンボルなどがそうです。おそらく模擬現実内での存在を想定されていないものには簡易版が存在しないということなんだろうけど、一方で望遠鏡には簡易版モデルがあるのがほんのちょっとだけ謎です。
- なお簡易版の3Dモデルは暖炉と暖炉の薪を置く台のように模擬現実の中にひとつしかないものにまで用意されている。『眼』のシンボルに簡易版がないのは単に手抜き的な理由では無さそうである。言い方を変えると、模擬現実内に簡易モデルが存在するものは『流れ者』種族の社会での存在を許されているものと解釈できないこともない。あの望遠鏡は住人にとってどういうポジションの道具だったのか。
- ところで遺物なしモードでは主人公の足元を見ようとしてもなにも表示されませんが、あのときの主人公は住人たちには一体どう見えているのか。地味にホラー。
- 素朴な疑問。スライドリールの描写では、住人たちが模擬現実を構築するのにビジョントーチを使っていたが、住人たちはもはやキーボードをカチャカチャやってプログラミングをするような習慣は無いのだろうか? すごいね。しかしイカダ落下エラーのスライドリールには映画『マトリックス』のオマージュと思われるコード的なやつ(関係ないけどWikipediaに項目があって噴いた)が出てくるので内部的にはやはり0と1的なやつがなんやかんやすることで模擬現実は動いているのだろう。あの文字列がロード中のデータなのかソースコード的なやつなのかまでは分からんが。スライドリールに描かれていないだけで裏でキーボードをカチャカチャやってた住人がいた可能性はあるけども。想像するとシュール。
- 模擬現実で住人に捕まったときの対応が遺物の有無で変わるのはなぜなのか。遺物の火をフーッと消すのは一見すると紳士的な対応ですが、実際のところはより合理的な手段を選んでいるだけだったりして…。
20220618●
- 先日Mobius Digital公式がアクセシビリティに関する調査を行っていたのを行っていたのを見てふと思ったこと。アクセシビリティ向上の目的を「プレイヤーをクリアまで導く」こととした場合、一番効果的なのは酔い対策ではないか。半分ジョークで200%本気。プレイ中の方の感想を見ていると「酔った」「酔って止めた」といったコメントが結構な割合で出てくるので…。アクセシビリティとは直接関係ないことかもしれないけど、実際「酔う」「酔わない」でプレイ体験に大きな違いが生じるのは確かである。自分はゲームでは酔わないほうだが、もし酔うタイプだったらこうしてファンサイトまで作っていたかどうか分からん。酔いに耐えながら宇宙の行く末を見届けた方々のガッツは実際すごい。といっても個人差が大きいから根本的な解決法は分からぬ。
- 他には操作感覚が独特である点も『Outer Wilds』の評価で色々言われがちなところである。実際、本作にアクション要素がなければ(あるいは今より簡単だったら)クリアする人はもっと増えていたかもしれません。かといって宇宙遊泳やら探査艇の操縦などを無くしたらゲームの味が完全に変わってしまうので難しいところである。開発当時、ゲームの物語構造について考える段階でテキストアドベンチャー版の『Outer Wilds』(いわゆるデメイク版)を作ってテストプレイに使ったこともあったそうですが、情報を一気に得られる反面それを消化する時間がないのでこれはこれで問題があったようだ。とはいえこっちのバージョンも遊んでみたいところです。
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- いきなりですが、先日落書きを投げるだけのDiscordのサーバーを立てました。ガチの落書きしかありませんがよかったら来てね。いきなり止める可能性もあるのでお早めに。
- 主人公のビジョンでちょっと好きなシーン:FeldsparがNomai遺跡の壁を持ち帰ったあと、壁の文字をHalが手でなぞっているところ。絵でいうと3枚くらいしかないんだけどキャラクターの描写がしっかりしていてうれしい。
- 『流れ者』で新言語を発見したと報告したときのHalのセリフ→
「必要なものは…そうだな、サンプルを100例ばかりと、碑文の写本。6カ月もあれば、この新言語が使ってる書記素の要点はおおまかにつかめるはずだ!」
について。このセリフを最初に見たときは「たった6ヶ月でそこまでの成果を出す自信があるなんて、こいつ天才か!?」と思ったけど、よく考えたらこの『6カ月』は地球時間のそれよりずっと短い可能性もあるよな。もしそうなら天才どころじゃなかった。主人公ではなくHalが宇宙に旅立っていたら我々がクリアするのよりずっと速く『眼』に到達していたかもしれない(メタ)。 - 本編では大勢のNomaiが様々な記録を残しており、中でもSolanumさんに関しては子供の頃からの記録まで読むことが出来ましたが、それに対してDLCではかつての囚人さんがどういう人物だったのかほとんど情報がない。DLCの構成上仕方ないことですがそのせいでクリア後もあれこれ想像してしまうわけです。去年から何度も言ってるなこれ。
- 『流れ者』が母星から『眼』の星系に来るまでどれくらいの時間がかかったのか。これも一切情報がないが、住人たちがスライドリールで故郷の映像を見たときの様子から察するに世代を超える程の長期間ではなかったと思われる(念のため説明:故郷で暮らしたことがないのに故郷を懐かしむのは不可能であるため)。とはいえ地球人類的な感覚で数年~十数年くらいはかかっていそうな雰囲気はあります。中には『流れ者』の航行中に生まれた人もいたかもしれませんが、囚人さんは故郷を懐かしんでいた一人だったのでそれよりは年上なんじゃないかな。件のシーンは他の住人からもらい泣きしてただけの可能性もあるけど……情報が無いせいでこんなことまで考えてしまうわけです。助けてくれ。
- 航行期間が長くなればなるほど住人たちの『眼』に対する思いは大きくなるはずだし(もちろん囚人さんも)、それだけに『眼』をスキャンしたときの衝撃は我々には計り知れない。スライドリールには大きめのイベントだけが簡潔に記録されているけど、実際は描かれていない出来事のほうがずっと多いのだ(記録がすべて事実かも分からないし)。時系列を整理したときに具体的な年表が書けないのは本編も同様だがDLCではそれ以上に年月の流れが分からないのだった。
- 星系間の移動に時間がかかるというのは『流れ者』が故郷に帰ろうとしなかった理由のひとつになり得るのではないか。高齢の住人は帰還前に寿命を終えてしまうかもしれないし、故郷の環境は時間経過でより悪化している可能性もある(特に水資源あたりが)(あの宇宙の植物は異常に強いので木は生き残ってるかもしれんが)。いずれにせよ住人たちの絶望に追い打ちをかけるには十分であろう。
- 『流れ者』種族の母星には魚や空を飛ぶ何かなど様々な生物がいたようですが、『眼』に旅立つときに一緒に連れてきた生き物はいなかったのか。当時そのようなことをする余裕があったかどうかも分かりません。ペットがいたような記録もないし、『流れ者』内には家畜を飼育するような場所もない(柵も小屋も餌入れ的なものもない=仮に飼育していたとしても放牧状態?)。スライドリールに登場するくらいだから何の思い入れもないってことはないんだろうけど。
- そういえば果てなき峡谷で上映されている故郷のスライドリールには目が4つある動物が描かれている(1月11日の雑談参照)。模擬現実で主人公に遭遇した住人たちはこの動物を連想したかもしれない。耳も大きいし。毛は生えてないが。
- 「場所もない」といえば『流れ者』には畑とかも無いですよね。SF的な食料生産プラントみたいなのもないし。NomaiやHearthianもそうですが、どいつもこいつも一体なにをどうやって食べて暮らしていたのか。そのあたりの情報がほとんど無いのは正直に申し上げて不満であります。魚釣りしてたから魚は食べてたんだろうという程度しか分からん。『流れ者』種族の歯は犬歯が発達しているから肉食寄りっぽいよね。見た目はシカとフクロウの合体なのに歯の形はそれらと特に関係ないのは少し面白い。
- シカといえば『流れ者』種族のツノはシカみたいに生え変わったりしないのかしら(こいつNomaiの話でも同じようなこと言ってたな)。例によって情報は一切ありませんが、囚人さんの肖像画がツノが折れたまま描かれていたのは少し気になる。地球人類でいうなら髪切るの大失敗したのにそのまま記念写真を撮りに行くようなものではないか。ちょっと違うか。絵なんだから折れる前の姿で描いてもらうという手もあったのにそれをしなかったのは何故だろう。ありのままを受け入れるタイプだったのか。何か理由があるのか。こういう不毛な深読みをひとりで延々やっているわけです。助けてくれ。
20220625●
- 量子の月でSolanumさんが対話のために出してくれたアイコンつきの石、Solanumさん自身を表す『「私」の石』のアイコンがNomaiの仮面になっているのが少し面白い。と最近気付いた。主人公を指す『「あなた」の石』が宇宙服姿なのは当然としても(このアイコンをいつデザインしたんだという謎は置いておいて)、Solanumさんを指す石が彼女の似顔絵とかでなく現在の外見を元にしているのはSolanumさんの「配慮」によるものだろう。これが知性だ(?)。
- そして、この石を見て「この絵はNomai種族全体ではなく目の前にいるNomai個人を表しているのだ」と即座に判断した主人公の賢さもなかなかものものである。「自分」と出会ったときは流石に
「ぐわあああああああああああああ!」
とか言うヤツだけど。 - 一方で「説明」と「確認」の石が生身のNomaiの顔アイコンだったり、「量子の月」の石がNomaiがデザインした月のアイコンだったりするのは少々説明不足なところがあるのも否めない。ただ、主人公が月に辿り着いたのはNomai由来の情報を参考にして来たのだろうという憶測してあれらのアイコンを選択した可能性はある(想像)。Solanumさんは現在の月の外の状況を知らないので、何らかの理由で『眼』の星系にやって来た主人公が、現地で出会ったNomaiたちに月のことを聞いて訪れたのだろうと判断してもおかしくはない
(出会った一瞬で?)。いずれにせよ、もしあのアイコンで話が通じなかったら別の意思疎通方法を考えていただろう。偶然主人公が異様に準備が良かった(察し力も高かった)からスムーズにコミュニケーションが出来ただけで。 - …というのを書いて思ったんですが、もし『眼』の星系にNomai以外の種族(アンコウみたいなヤツじゃなくて、ある程度大人しくて対話可能な知的種族)が来たとして、その誰かがNomaiたちに「量子の月に行ってみたい」とお願いしたらNomaiたちは行き方を教えてくれただろうか。Nomaiにとって量子の月はある意味で信仰の対象(月に行くことが「成人の儀」になっていたり)のようなものでもあるが、Nomaiには「よそ者は来るな」などと意地悪を言うような人もあまりいない気もするのでそれを理由に断ることはおそらく無いのでは。Nomai内で多少の議論が発生する可能性はあるが、それでも最終的には快く教えてくれるような感じはある。それどころか「Nomai以外の種族が月に来たら別の反応があるかもしれない」とか誰かが言い出して、それを観察しようと皆でゾロゾロ付いてくる可能性まである。どことなく既視感のある光景である(全部想像です)。
- ↓ここからDLCの話題↓
- 比較的どうでもいい指摘:囚人さんが置いていったビジョントーチは、柄の部分が結構深めに地面に突き刺さっている。トーチを立たせておきたかったという理由は分かるけど、先が尖っているわけでもないトーチをズボッと突き刺しているところを想像するとなんだかシュール。デジタルの世界なので突き立てるのに腕力が要るかどうかまでは分かりません。
- このトーチのビジョンの光が出てくるのがちょうど主人公の目の高さだったのも囚人さんの「配慮」だったのかもしれないが、そんなことを気遣うくらいならもうちょっとだけでも一緒に居てほしかった。何もしなくてもあと数分で宇宙は終わるというのに。泣く。
- Nomaiの技術はどちらかといえばファンタジー寄りのSF風味(変な言い方)(でも念力とか使ってるし…)で『流れ者』種族の技術は太陽帆や回転式の人工重力など現実にもある(考案されている)技術を使っている。この傾向の差はもちろん意図的にそうしたんだろうけど、一方でビジョントーチに関連する技術だけは途端にファンタジー寄りなものになっているのがちょっと不思議である。ファンタジーというかオカルト味もあるよね。
- Nomaiと『流れ者』種族は技術面や精神性、生き方など様々な面で対照的に描かれているが、記憶に関する技術だけは比較的近いものを持っていたっぽいところがなんだか面白い。成熟した文明は記憶・記録を重要なものと考えるようになるから必然的にそっち方面の技術が発達するというのもあるかもしれない(想像です)。
- ところで上に書いたSolanumさんのアイコン石の件なんですが、記憶を読み取って保存・出力する技術はNomaiたちも持っていたわけなので、出会ったばかりの主人公の宇宙服姿をSolanumさんが石に描き出すことが出来たのもひょっとしたらそういう技術の応用だったのかもしれない。と脳内補完は出来るがやはり魔法めいた技術であることは否定できない。Nomaiはすげえや。
- 『流れ者』建造中のシーンで、木を伐採するのに斧を使っていたのはよく考えると凄くないか。スペースコロニーを作る技術力があるのにチェーンソーみたいな道具が存在しなかったとは思えないし、「木を伐っている」と分かりやすくするための表現だった可能性もあります。
- 他にも『流れ者』内の地面にあたる部分を運び込む様子も特に描かれていないが、あの建て方だと後から大きな岩やらを中に入れるのは難しいのではないか(ボトルシップじゃあるまいし)。あの建造風景はあくまでイメージと思うべきなんだろうか。特に峡谷あたりの地形なんてどうやって持ってきたのか想像もつきません。『流れ者』建造の記録でドキュメンタリー映画作ってほしいレベル。
- 『流れ者』航行中~停泊中に宇宙空間での活動が一切なかったとは考えにくいが、『流れ者』内には住人用の宇宙服のようなものは残されていない。宇宙飛行士としての訓練を受けている人が居たかどうかも分からないし。もしかしたら『流れ者』出入り口にあった小型のUFO的なものがある意味宇宙服の代わりだったのかもしれない。なんかこう、精密動作ができるアームが出てくるとか。こんなところまで考えてどうしようというのだ。
- 『Outer Wilds』の登場人物は基本的にその場を動かないが、囚人さんには歩くアクションがある。状況によって位置が変わる人物はいるが(記憶の像とペアになった直後のHalとTephra、かくれんぼイベントなど)、実際に徒歩で移動する様子が見られるのは囚人さんだけである。そもそもプレイヤーの干渉によって行動が変わる人物自体が極めて珍しいので、そういう意味でも囚人さんは特別な人物だと感じるのかもしれない。ほかの住人たちはある意味アンコウみたいなものなのでそれはそれで特別です。別の意味で。
- DLCの結末について、現在の仕様以上に「囚人さんが去った」ことを分かりやすくするには、独房の階段を上がって外に出たプレイヤーが今まさに入水しようとする囚人さんの後ろ姿を目撃するくらいはやらないと難しいのではないか。そんなものを見せられたら三日三晩寝込む自信があるので今の間接的表現でよかったと思った。元の仕様でも致命傷なのに。
20220709●
- 去年10月31日に『DLCの同人誌も出したい』と言っていたやつがようやく完成しました。コンビニのネットプリントサービスで印刷できます。印刷代が200円かかりますがわたしには1円も入りませんのでご安心ください。去年出した本編の同人誌と、ついでにすごろくも再公開中です。なおネタバレ防止のため予約番号・ユーザー番号を見るにはDLCコーナーのパスワードが必要です(※本編同人誌のほうは必要なし)。
- 今回の本はカラー表紙もご用意しました。カラー印刷と白黒印刷は同時に出来ないので別に印刷していただく必要がありますが、やはり表紙に色が付いているほうが本っぽくなるので本っぽいものが欲しい方はどうぞ。去年の本のカラー表紙もあります。なお去年の本はどうしても直したいところだけ微修正しました。ご了承ください(内容は同じです)。
- Outer Wilds was inspired, in part, by roasting marshmallows - Polygon/『Outer Wilds』とマシュマロが切っても切り離せない関係であることがよく分かる記事。「初期バージョンでは最初に強制でマシュマロを焼かせようとしていた」(要約)というくだりで笑ってしまった。
- 航行記録には『Nomaiの(墓)』という地名はあるが、実際にNomaiたちが墓地として扱っていた土地というのはゲームには出てこなかった。攻略に関係ない施設類だから描写を省略されているだけかもしれないが、Nomaiたちの死者に対する扱いがどんなものだったかは普通に興味があります。葬儀や弔い方はどうだったのか、お盆みたいなイベントはあったのかどうか。法事はあるのか。法事はないだろ。
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- ↓ここからDLCの話題↓
- 思いつき:エンディングの楽器集めパートに出てきた『流れ者』の墓石、両側のツノ飾りが故人のツノの形を再現しているとかだったら切ないが若干コワイ。あの墓石が実際に『流れ者』文明で使われていたものなのかどうかは不明。
- DLCのリリース前に、いわゆる全員生存ハッピーエンドみたいなものが追加されるのではと想像したプレイヤーはどれくらいいたのだろうか。あのエンディングを見たあとで本作に対してそういう方面の期待をする人は少ない気がする。
- DLCでは2種類のエンディングが追加されましたが、本編とは違って『流れ者』の現実で迎えるエンドはもうひとつの追加エンド(死にログインで終わるほう)に派生する可能性があるのがちょっと特殊である。といっても食料の問題等で最後は最期を受け入れなければならないのだが。本編の太陽系脱出エンドも何かの偶然で生存可能な天体がある方面のほうに飛んでいける可能性もゼロではないが1でもない。やはり本作ではエンディング=死である。時空構造を破壊するエンドはある意味で死を超越した結末とも言えるか。
- 模擬現実に死にログインするエンドの場合は残り時間の概念が事実上なくなるため、地底湖のパスコードを総当りする時間ができる。出来たからなんだって話だけど。
- 囚人さんに会わずにループを止めた場合は囚人さんは存在し続け、囚人さんに会って件のイベントを発生させた場合は永遠のお別れをすることになる。とんでもない皮肉だがそういうことになっているのでしょうがない。主人公がどうにかして囚人さんを止める以外に運命を変える方法はない。
- 本編にしてもDLCにしても、主人公に新しく出来た友達がどちらも「亡くなってから数十万年経っているのになぜか存在し続けている人物」だというのはなかなか業が深いのではないか。そういう性癖(誤用のほう)にはたまらないかもしれないが。そういう性癖ってなんだ?
- 生きている『流れ者』住人たちと『眼』の星系に来たNomaiたちが接触する機会は結局ほぼゼロだったわけだが、『流れ者』母星のほうに他部族のNomaiが訪れる可能性は多少はあったかもしれない。Cannaなど宇宙滅亡寸前世代のNomaiたちは安全に居住可能な場所を探していたようなので、ハビタブルゾーン的なものがある星系は探索の候補地に選ばれることもあったのではないか。とはいえそれは『流れ者』が旅立って数十万年も後(※Nomai時間で)の話であるし、母星で文明の痕跡が見つかるかどうかは怪しいところである。家やなんかも解体しちゃったしなあ。比較的「現代」に近い時代のNomaiが『流れ者』種族の遺跡を発見する展開は少し面白そうだけど、Nomai側はその発見を楽しむ余裕は無かっただろう。
- 『流れ者』の住人たちが『眼』に旅立った理由が自分たちの生き残りのためだった場合、『宇宙の眼』はその願いを部分的にだが叶えたことになるのではないか。エンディング最後に登場した新宇宙の新宇宙人のことですね。青いランタンを持った背の高い種族は明らかに『流れ者』種族の何かを受け継いだ存在なので、見ようによってはそういう解釈ができないこともない。といっても「君たちはもう滅びるけど143億年くらい後に君らに似たような何かが生まれるよ!」なんて言われて彼らが納得してくれるとも思えないし、一概に良い話とは言えないのではないか。別に良い話にしようとしているわけではない。
- しかしあのランタン新種族を見たあとだと、むしろカマキリさん達はなぜカマキリなのかという謎があらためて浮上してきてしまう。ランタン種族は『流れ者』種族の身体的特徴(長身や長い腕)に加えて文化的特徴(ランタンを使う)も受け継いでいるのにカマキリ種族が受け継いでいるのはHearthianの文化的特徴(焚き火とマシュマロ)だけである。『宇宙の眼』に到達するのに大貢献したはずのNomaiたちの要素はどこに行ってしまったのか。あのカマキリさん達はSolanumさんに会っていないと出現しないので、新しい宇宙がNomaiたちの影響を受けていないはずは無いのだが。
- Solanumさんや囚人さんと出会うイベントは、プレイヤー側からの思いを伝える手段がないのが絶妙だなあと思います。コミュニケーション手段に制限があるシチュエーションを上手に使っているというか。仮に「Solanumさんに感謝を述べる」だとか「囚人さんに抱きついて号泣する」とかいったコマンドが用意されていたとしても、それを選びたいから選ぶのではなく選択肢があったから選ぶという行動になりかねない(「やりたいからやる」のではなく「出来るからやる」)。もちろんゲームの作風によってはそういう選択肢があっても良いのだが、プレイヤーが何をするか・何を思うかの手綱を最大限プレイヤー側に握らせたい場合はあえてエモーショナルな選択肢を用意しないのもひとつの手なのかなあと思った。オチはない。
20220717●
- クラゲは英語で「Jellyfish」という。ということは木の炉辺には「ゼリー(Jelly)」があるのか? と思ったけど、「Jelly」は語源的には「煮こごり」が由来なのではという説もあるみたいですね。魚の煮汁とかが固まって出来るアレである。別にお菓子のフルーツゼリーみたいなものだけを指すわけではない。だから魚を常食していると思われるHearthianが「Jellyfish」という命名をしても何もおかしくはないのだ。なんてよく出来たゲームだ。なに言ってんだ。
- 名前といえば、Riebeckの名前の元ネタだと思われるRiebeckite(リーベック閃石)は人名が由来なので、Riebeckは偶然にも地球人の名前がついたHearthianということになる。宇宙は広いのでたまにはそういうこともあるのだ。
- 村にある幽霊物質の説明の看板には
『幽霊物質の中を通り抜けようとすればとてつもない苦痛を味わい、おそらく死に至る。』
とあるが、ここまできっぱり警告されてもなお幽霊物質に触れようと試みてしまったHearthianは過去に何人もいたのではないか。少なくともFeldsparあたりは絶対にありそう。 - それにしても、幽霊物質を視認する手段を得るまでHearthianはどうやってあの不可視の危険物質に対処していたのか。幽霊物質がある周辺には例の謎の欠片的なもの(侵入者にあった
「球状の石のケース」
の破片なのか、半減期的なものを過ぎて無毒化した幽霊物質の結晶なのか、結局正体は不明)が落ちているし、近付いたときに明らかにヤバイという感覚もあるだろうからそれでどうにかなったのだろうか。『おそらく死に至る。』
という看板の書き方からしても実際に死に至るほどの被害を被ったHearthianは実はいないのかもしれない。もし居たら口伝でも記録が残ってるはずだし。 - ちなみにこの看板の説明は英語原文だと
『uniquely painful』
となっている。『uniquely』は「比類なく」あるいは「独特な」「ユニークに」といった意味もあるので、単にすげえ痛いというよりはもうちょっとこう独特な感覚もあるといったニュアンスも含まれているのかもしれない。なんというか、とてつもなく冷たい何かが体を通り抜けるような感じなのではないかと想像しているがどうか。想像したくないわ。
- ↓ここからDLCの話題↓
- クラゲといえば、巨人の大海にあるイバラの島の氷はなぜ溶けないのか。あれが飛んできたのがNomaiが来る前としても数十万年は経っているのに。言うまでもないが巨人の大海の気温は水が水でいられる程度の温度のはずである。深く考えないほうがいいかも。
- DLCの物語、囚人さんが『眼』の信号を開放したことでNomaiたちが『眼』の星系に来て、そのNomaiたちが滅んだあとも彼らの技術を受け継いで宇宙まで進出したHearthianが囚人のもとへたどり着くという輪が出来上がってるのがまたエモいですわ。噛んでも噛んでもまだエモい。
- 『Outer Wilds』は操作方法がほぼ常に画面に表示される仕様のゲームですが、そのおかげでDLCでいきなり遺物やビジョントーチを使うことになっても特に疑問に思うことなくスムーズに操作に移れるのでこれはちょっと上手いことやられたなと思いました。囚人さんの前で唐突にビジョントーチの操作チュートリアルが始まったりしたら台無しだからである。その代わり常に画面に操作方法が表示されるという不都合もあるが。
- 囚人さん以外の『流れ者』の住人たちは皆同じような行動パターンをしているが、長年(ものすごく長年)同じメンツで暮らしてきたことで思考が並列化(by 攻殻機動隊SAC)しているのではないか、という仮説を思いついた。これは半分冗談ですが、1人か2人くらいは違う行動をする人物がいても良かったのにとは思います。個性を出しすぎるとホラー感より親しみが湧いちゃうからそういうのはあえて抑えた可能性はある。
- 何十万年も命の危険がない環境で暮らしていたら危機感というものはどんどん鈍化していく気がしますけど、しかしそれでも住人たちは主人公を警戒して追い出そうとする。やはり何度考えても模擬現実の住人たちの精神状態は謎である。私の模擬現実についての仮説が部分的にでも正しいならゲーム開始時点での彼らは人格を保存・再現されたデータ的存在ということになるので、生身の人間とは違って時間経過で記憶や感覚が劣化することは無いのかもしれない。実際、囚人さんは過去の人生をずっと覚えていたからこそあの「咆哮」が出たわけで。でもそれはDLC追加エンドの
『あなたの以前の人生はうろ覚えの夢となります。』
の説明とは矛盾する気もする。主人公の再現具合だけがちょっと変なだけかもしれんが。 - 同エンディングの説明によれば、あれだけ主人公を追い回した住人たちもそのうち追いかけるのを止めるということになっている。別の見方をすると、模擬現実は一応まだ変化の余地がある世界だということでもある。数十万年も自我や感情が残っている状態で閉鎖環境で生き続ける……想像するだけでホラーである。
20220725●
- GDC2021で行われたKelsey Beachum氏のセッションがYoutubeのGDC公式チャンネルで公開。使用されたスライドだけでなく実際のセッション内容が動画でも見られるようになりました。英語ダメ勢はYoutubeの自動翻訳機能を駆使して見よう。
- 海外掲示板Redditの『Outer Wilds』サブレディット(※コミュニティ的なやつ)が登録者5万人を突破。これはすごい。英語圏以外のユーザーによる書き込みもあるので世界中のOuter Wildsファンが集結してこの数になったと思うと胸熱ですわ。わたしは英語ができないのでROM専ですが。
- 小ネタ:主人公が主人公と出会う某エンドの「あああああ(以下略)」「わあああ」「うわあああ」「ぐわあああ」「あぁあぁああ」といった叫びは、英語原文の「AAAAA」とか「AAAaaaAAA」とか「AAAUGHHH」とか「WAAAAA」といった細かい違いを結構反映した訳になっている。翻訳って大変だ。
- Nomaiは謎の信号の形(『船』にあるホログラム?)が眼のように見えたことから信号の発信源を『宇宙の眼』と名付けたが、実際の『宇宙の眼』は「見るもの」というよりはむしろ「見られる」ことで意味を成すものである。もちろんNomaiがそうした性質を理解したのは命名した後だから齟齬があるのは当然なんだけどなんか面白いね。『眼』が我々を見ているのではなく、我々の視線を『眼』が反射しているだけなのではないか。
- Solanumさんの
「私があなたのことを友だちだと思っても、気を悪くしないでほしい。」
という発言。これはただ単にSolanumさんがフレンドリーないい人だからというだけではなく、主人公のことを『眼』を目指す探求者の仲間だと見なした上でそう言ってくれたのかもしれない。Nomaiたちが量子の月(特に第6の場所)に上陸する方法を確立するまでには相当な苦難があったはずで、Solanumさんもそのことを理解しているだろう。その苦難の道と同じ道程を歩んで月に到達したであろう主人公をある種の同志と見なしてもおかしくはない。でもあの状況でああいう発言が出てくるのはやっぱりSolanumさんがいい人だからだと思う。 - 幽霊物質は非常に危険だが、その致死性は水によって極端に弱まる性質もある。以前クリア後感想で「幽霊物質は誰かが石のケースに詰めて宇宙に捨てたんじゃないか説」について書きましたが、もしこれが正しいとして、その「誰か」はこの性質を知らなかったんだろうか? 幽霊物質の量が多すぎて保管すること自体にリスクがあったから捨てられた可能性も十分あるが(※石のケースが破裂したら一瞬で星系全体に広まるような代物なので、仮に海の底に沈めてあったとしても管理には限界がある)。あるいは水に漬けて保管していたけど何らかの原因で宇宙に飛び出してしまったのかも。迷惑だなァ。
- ↓ここからDLCの話題↓
- 唐突な疑問:エンディングで新しい宇宙が誕生したのはいいとして、なぜプレイヤーは143億年後の様子だけをチラッと見ることができるのか。そもそもあれは誰の視点なのか。そこまで考えるのは深読みが過ぎるか。ラストの一枚絵は条件によって変化するから「あの瞬間」の「あの場所」に特別な何かがあったとはちょっと考えにくいし。
- かなりどうでもいい疑問:『流れ者』住人の服(伝統衣装?)は一体どうやって着ているのか。ケープ的な上着は前で開く構造っぽいからいいけど中に着てるやつはそうではないので急に心配になった。大きいツノがあるからTシャツやスウェットみたいに頭から被って着るのは不可能だ。背中が開くタイプの服だったとしても住人種族は腕が長いから閉じるの大変そう。大きなお世話にも程がある。
- しかし大きなツノがあるのは頭部を効果的に守る手段が少なくなるということで、簡単に言うとヘルメット的なものが被れないのである。住人の中に宇宙飛行士らしき人物がいなかったのは案外それが理由だった可能性すらある。意外とそこまでどうでもよくない疑問だったかもしれない。それはそうとTシャツ的な服はNomaiも着れないと思う。伸縮性がある生地の服なら着られないことはないが首のところがすぐベロンベロンに伸びるのではなかろうか。異様に伸縮性がありつつ伸びっぱなしにならない素材の開発が待たれる。またどうでもいい話になった。
- 服装といえば、模擬現実ログイン後の主人公の服装は村で目覚めたときの普段着のままである。つまり主人公は普段着に一枚羽織るくらいの感覚の装備で宇宙に出ているのが確定してしまった。我々地球人類の文明で用いる宇宙服は気圧の調整とか宇宙線からの防護とか様々な要素を考慮して作られているがそういうもんはHearthianの宇宙服には無いのだ。ヘルメットは内部を酸素で満たすため(あとは頭部の保護)に必要なだけで酸素さえあれば必須でない可能性すらある。Eskerを見ろ。
- 『流れ者』住人たちの肖像画は我々の美的感覚でいうとどちらかといえば不気味寄りな雰囲気である(※感じ方には個人差があります)。単に文化の違いからそう感じるだけで当時の住人たちにとってはいい感じの絵だったんだろうか。でも我々の世界でも満面の笑みとかで描かれた肖像画はあまり一般的でない気がするので元々そういうもんだったのかも。